つくること①

材料はなるべく新鮮な卵、 酢、お好みで油少々です。

 

まず、卵の殻を割り、卵黄と卵白をわけます。

卵黄を指でつまみ上げ、一箇所を針などでつつくと、

膜が破れ、中の黄身を取り出すことができます。

この黄身に、酢、油を入れて混ぜれば準備は完了です。

 

 

今回は料理の話ではありません。

今作ったのはテンペラ用の展色剤、つまり絵の具のもと

なのです。

 

「絵の具」は、色の粒である「顔料」と、その顔料を

画用紙やキャンバスに接着する「展色剤」から成っています。

絵の具の違いは、主にこの展色剤の違いで、例えば展色剤に

アラビアゴムというものを使えば「水彩絵の具」になり、

アクリル樹脂を使えば「アクリル絵の具」に、油を使えば

「油絵の具」になるのです。

 

「テンペラ(卵テンペラ)」は、油絵の具が発明されるより

ずっと前から使われてきた絵の具のひとつです。

ジョットとか、ボッティチェリとか、近代だとアンドリュー・

ワイエスなどの巨匠が用いたことで有名ですが、材料としては

とてもシンプル。

通常キッチンにあるもので作れてしまうことが、ちょっと意外

です。

 

(参考:「テンペラ画ノート」

 株式会社視覚デザイン研究所 1990年)