黄色い表紙がまぶしい絵本「ひとまねこざる」(H.A.レイ作 光吉夏弥訳 岩波書店、1947年)は、
子どもの頃好きだった絵本です。
シリーズは、おさるのジョージとして最近アニメーション放映もされているので、今なお
子どもたちに人気のようです。
しかし、好きだったと言いながら最近読んでいなかったので、読み返すまでどんなお話なのか
覚えていませんでした。
はっきり記憶していたのが、このブログのタイトルの3点。
物語の筋書きそのものでなく、どちらかというと末端的な出来事(モチーフ)です。
もっとインパクトのある展開が色々あったのに、そちらの印象はなぜか薄い。
多分、ビルの窓拭きには見ていて曲芸的な面白さがあるし、ギプスは幸い今までに
骨折をしたことがないわたしにロマンチックな存在だったのだろうし、
ほうれんそうは。。。自分も食べられなかったか、食べられたか、
同じ目線に立つ子どもとして興味深かったのでしょう。
大部分を忘れてしまっていましたが、本を読んで「楽しかった」思い出は、きちんと
体の底につながっているように思います。
松屋銀座で開催の、”おさるのジョージ展”へ行きました。
原画やスケッチからは、印刷ではわからない線や色使いの柔らかさが
感じられます。
H.A.レイの絵は、一見力を抜いてさらさらと描きあげているように見えるのですが、
実際には何枚ものスケッチで構図や構成を検討した跡が残されていました。
大らかな筆致になごみ、レイ夫妻の戦時中のエピソードには心がしんとなり、「作る」
ことへのひたむきさがしみる展示だったのでした。