カタライザー

もし今、夏休みの宿題を与えられるとしたら、いちばんやってみたいのが

読書感想文です。

 

自分で本を選んでもいいし、課題図書でもいい。

その本がおもしろい本であるか、おもしろくない本であるかも

この際関係ありません。

どういうわけか、今ならすてきな作文が書ける自信があります。

 

論文ではないから、あくまで自分が本を読んで感じたことを

そのまま書けばいいわけです。

「運動会の思い出」だと、みんなで同じ体験を共有している分

かえって制約が多くなるのですが、ひとりで本を読んで、あれこれ

考えることならいくらでも広がりそうです。

 

ある1シーンだけに焦点を当てて感想を書いてもいいし、作中の食事の

シーンが印象的だったなら、自分の昨日の夕食の話につなげてもいい。

極端な話、タイトルの言葉から連想するエピソードを延々語っても

間違いではないのです。

 

読書は何かをインプットする作業と言えますが、受け取り終わった後の

「感想」は、人それぞれ異なります。

他者の物語を触媒に生まれた「感想」は、ある意味最も純度の高い

自分自身の声かもしれません。

 

子どもの頃、作文は不自由なものでした。

わたしはなかなか枚数を埋められなくて、なし崩し的に

「~がおもしろかったです」「~がとてもわくわくしました」式の

文章に落ち着いてしまって、あまり楽しいとは思いませんでした。

知識がなかったせいもあるし、妙なプレッシャーもあったのでしょう。

 

今だったら開き直って、文章に対して自由になれそうな気がする。

だから、大人になるのは、いいものなのです。