寒い国

府中市美術館で開催中の、「フィンランド・デザイン展」に

行きました。

 

フィンランドといえば、学生時代にクラシック音楽をかじっていた

身としては、作曲家シベリウスの故郷というイメージがあります。

シベリウスの曲にはどこか暖色系の音の響きがある気がしていて、

わたしはいつも湯気の立つ温泉にどぼんと入るイメージが浮かびます。

これを聴くと、フィンランドって、とてもとても寒い国なんだろう

なあと思うのです。

そもそも「シベリウス」という名前自体が、寒そうだし。

 

行ったことがないので勝手な想像ばかりですが、マリメッコの

鮮やかなファブリックや、トーヴェ・ヤンソンのペンスケッチや、

アアルトの洗練された椅子の曲線を見ても、「寒い国」の印象は

拭えません。

おおらかでユーモラス、それでいてがっちりと堅牢。

展示作品には共通して、厳しい冬を乗り切る知恵というか、

構えみたいなものを感じました。

その地域の気候風土や生活形態に密着した気配を持つからこそ、

強いデザインなのでしょう。

人の手の感触や息遣いが伝わってきそうな、温かい展示です。

 

https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/finland.html