星と食卓と10億トン

太陽から突発的にプラズマの塊が放出される現象を、コロナ質量放出と呼びます。

放出されるプラズマの質量は、実に10億トン。

この影響は遠く離れた地球でも受ける可能性があり、大停電などのおそれが

あるそうです。

 

上記は、たまたまつけていたラジオの、ある科学番組からの聞きかじり

情報です。

別の用事を済ませながらぼんやり聞いていましたが、宇宙とかエネルギーとか、

素人には正直よくわからない。

プラズマが10億トンと言われたって、まさに天文学的でぴんとこない

数字ではないでしょうか。

 

それを、スピーカーである科学者の方は、こんな風にたとえたのです。

 

10億トンというのは、毎年生産されるトウモロコシの質量と同じである」

 

トウモロコシ?

唐突になぜ、トウモロコシ?

 

確かに、世界的重要作物ではあるかもしれないけれど。

ものすごい量とか規模、なのかもしれないけれど。

でも、トウモロコシ?

莫大なエネルギーの流れと身近な日々の糧の取り合わせが、

上の空だったわたしに妙に鮮やかに響きました。

 

たまに、誰かの何気ない言葉の中に、詩情を感じることがあります。

今回まさにそのパターンで、いわゆる、これが「手術台の上の

ミシンとこうもり傘の出会い」というやつではないかと、嬉しく

なってしまいました。

番組の内容は忘れても、きっとプラズマとトウモロコシのことは

忘れないな。

 

ただし、トウモロコシを引き合いに10億トンの実感がわいたかと

いえば、まったくそうではないので、たとえ話としてはややミスかも。