ほどけたナイフを見たことがありますか。
見たことがないという方は、ぜひこの絵本をどうぞ。
「ふしぎなナイフ」(中江牧江/林健造 さく 福田隆義 え 福音館書店、1985年)
わたしはこの本のタイトルを、ずっと「すてきなナイフ」だと思っていました。
だってすてきなのです、このナイフ。
そもそも、ナイフは「危険」なものです。
理由もなく子どもが持つことは許されていないし、見つかれば取り上げられて
しまいます。
でも、禁じられれば禁じられるほど、逆に気になってしまうのが人情というもの。
背徳心に、ナイフの銀色が怪しく映ります。
そんな悪の香りをスパイスに、精緻な絵で描かれたナンセンスは、ちょっと大人の
味かもしれません。
ページをめくるたび、思わずうっとり。
魅惑のナイフの変貌を、とくとご覧あれ。