卵焼きとオズの国

100円ショップで便利グッズを発見しました。

なんのことはない、シリコンでできた長方形のフレームなのですが、

これをフライパンに敷いて卵を焼けば、きれいなだし巻き卵ができるという

優れものです。

かわいらしさを演出してか、全体はショッキングピンク。

長方形の短辺には、ハート型のツマミ(持ち手)がついています。

デザインはさておき、興味本位で購入。

 

ところが、フレームの幅に対して我が家のフライパンの直径が小さいため、

どうしてもシリコンがたるんでしまうのです。

卵液がフレームとフライパンの隙間から、でれでれと流れ出てしまうでは

ありませんか。サイズを考慮しなかったゆえの、痛恨のミス。

 

これじゃ意味がない、とあきらめかけたところで、ふとハートのツマミが

目に留まりました。

もしかして、これがなければフライパンに収まるかもしれない。

わたしは迷わずはさみを取り出しました。。。

 

 

その後、どうなったのか。

結論としては、ツマミがなくなったところでフレームは収まらず、

卵のでれでれは止まりませんでした。

フレームは使えないままキッチンに吊るされており、切りとった

ハートも捨てかねています。

なんとなくまずいことをしてしまったかな、という気がして。

 

 

魔女はまたおのを手からすべり落とし、おのは今度はぼくの胴体を

まっぷたつに切りはなしてしまいました。

(中略)

まったくひどい目にあったものですが、あそこに立っていた一年間、

ぼくはつくづく考えましたよ。ぼくがなくした一番大切なものは、

心臓(ハート)だってことを。』

(「オズの魔法使い」 フランク・ボーム作 幾島幸子訳 

 岩波書店、2003年 より引用)