地面

初めての海外旅行でいちばん感動したことは、自分はいま海の向こうの

大陸に立っている、という実感そのものでした。

 

飛行機で数時間、雪がちらつく日本から真夏の暑さの異国に

降り立った時、どうがんばっても、ここから陸続きに歩いて帰る

ことはできないのだとあらためて思いました。

生まれ育った土地の「地面」を離れることへの、ちょっとした不安は、

わたしにとって新鮮なものでした。

 

帰国した翌日はまだ寒く、自宅のストーブをつけていたと記憶しています。

 

突然の激しい揺れが、キッチンのガラスの容器を落として割り、

隣家につながる電線を切りました。

余震を恐れながら家族と連絡をとり、次第に、東北地方が大変なことに

なっているらしいと知り、そして。。。

 

 

わたしはあの時、地面を離れる不安に対して、揺らぐ地面から離れられない不安を

味わったように思います。

いずれの感情も少なからず、その後の7年間に影響を与えました。

きっとそれぞれの人が、それぞれの心の中に、あの日の記憶を持っているの

でしょう。

今日は、311日です。