熱とじゅうたんと涙

いつもはなんとも思わない冷房が、その日に限って

ものすごく寒く感じ、昼ごはんを食べて落ち着いてみたら、

今度は体がふつふつと沸き立つように熱くなってきました。

 

人はこんな風に熱を出すのだったなあ、とぼんやりした頭で

考えてみたところでどうにもならず、計ってみれば381分。

 

子どもの頃に熱を出すと、「空飛ぶじゅうたん」が好きでした。

寝たまま、布団の両端を家族に持ちあげてもらって、テレビのある

居間に運ばれていくのです。風邪ひきの優越、特別感が嬉しかった

なあ。

 

今はもう、魔法のじゅうたんに乗るには体が大きく、重くなりすぎて

しまった。

体は重いが、とにかく顔を洗って、着替えて、自力で布団を持ち上げ

なくてはいけません。

だるさをこらえてずりずりと、ようやくひととおりを終えるとやっと

安心。やっぱり布団の国はいいものです。

 

ちょうどその時テレビでやっていたアニメ映画は、小さい頃からよく

見ていたものだったけれど、熱で煮えた頭は感傷的になるのか、なぜか

涙が止まりませんでした。

当時はわからなかった登場人物の心の機微みたいなものが、わかるように

なったからでしょうか。

そもそもいつのまに、わたしは彼らの年齢を超えてしまったのだったか。

 

ぽろぽろ泣いて、ごくごく飲んで。

繰り返すうちに寝てしまい、朝起きてみると、嘘みたいに平熱。

 

おかげさまで、元気です。